レッスンでは、教本の曲が正しく演奏できたときに、合格の印として「まる」をつけます。さて「まる」をもらったあとは、もうその曲を弾く意味がなくなるのでしょうか?
ピアノを演奏するという動きの中には、同時に考えなければいけない要素が山のように含まれます。鍵盤の位置、五線譜の読譜、指の形、指番号、強弱・・・。初級者向けの教本で学習している時に、そのすべてのことを完璧にクリアできるまで先に進まないという考えですすむと、その先に待っている更に多様な曲に出会う機会が減ってしまいます。
「ミスタッチなく弾けた!」「伴奏音源に完全に合わせて弾けた!」それは教える側にとっても、演奏されたご本人にとっても、そして見守るご家族の方にとっても嬉しいことです。
その一方で、ミスタッチはあったけど、音源と合わなかったけれど、とても気持ち良く自分の心のままに演奏ができたと感じた経験はどなたにもあるかと思います。
スタジオのレッスンでは、今一番優先すべき課題は何かということを考えて句点「。」の意味ではなく読点「、」の意味で一曲ごとに「まる」をつけています。
さあ、「まる」をもらったら、そこからがその曲を本当に楽しむスタートです。
表現を工夫して、身体の使い方を研究して、音の響きに耳を研ぎ澄ませて、より自然体で自分自身が納得のいく演奏を目指して頂くとピアノの楽しみがより一層深まると思います。
ご自身にとっての大切な一曲にじっくりと時間をかけて向き合う機会として、ぜひ「ちょこちょこステージ」「演奏倶楽部コンサート」「PGKピアノ演奏グレード」などの舞台演奏の場をご活用頂けると幸いです。
古今東西の多くの名演奏家に倣って、同じ曲を何回も舞台で演奏することも、上達への近道です。


